2007年10月17日水曜日

戦争の様相(その②)

前回は写真を見た時の自分の衝撃を書きました。でも戦争の様相は最近さらにエスカレートしていると思います。ABC放送だったと思いますが、はっきり覚えていないのです。それは南米かアフリカの戦争現場を現地撮影に入ったクルーの様子をまた別のビデオカメラが撮っていたものでした。

その米人記者はまったく無音の情景の中で、検問の軍兵の指示で車から降ろされ、跪き、両手を上に上げて、従順を示していました。気まぐれなその兵士は靴のつま先でこづきながら、俯せに寝かせ、その背中から何の躊躇もなく、ドンと一発で撃ち殺したのです。

その音の入っていない映像は熱帯の情景と共に、あたかも非現実的で非情な情景を完璧に表現していました。凝固したような一瞬の時間をどう表現していいか分りませんでした。前回のベトナム戦争の記事は写真だったので、その後のことは想像するしかないのですが、まだ、それまでなのです。この場合は現実としてのそのリアルさは想像の余地を残さない絶対的な暴力であり、現実(リアル)でした。映像という暴力に私はぶん殴られ呆然としました。

でも、今ではどこにでも起こっているように思えるのです。この想いをどう表現すれば的確に伝えることができるのでしょうか。今読み返してみても、肩に力が入っていて、自分の無力をを痛感します。


報道     beebee

米人記者は
跪き
爪先の攻撃の内に
大地の上に横たわった
軍兵の銃口は
彼の目をつむった背を狙い
弾丸は無音の内に
彼の右背から左腹へ抜けた
石を落とされたでもしたような
反動と
土煙と
大地の熱気に凝まりついた時間の中で
彼は無意味に死んだ
死とはこれほど無意味で
無機的なものだとでもいうように
彼は体をつとゆすると
力を四囲に四散した
あとは
物言わぬ物体が
一定料の空間を占め
物理的な重さ以外に
その存在を計ることはできない
そこでは
死はあまりに無意味だった
衝撃 → 無
死。


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