2007年10月26日金曜日

カヌーが趣味だった頃に


まったく運動神経のない私が、カヌーが趣味でしたと言うとみんな一様に驚いてくれる。そこが面白くて始めたようなものだが、一時期カヌーに夢中になった時があります。

実は自分を変えたいと思ったけれど、どうすればよいのか分らなかった時に、近所のショッピングセンターの中にカヌー屋ができたのです。千葉の検見川浜の駅前のショッピングセンターに、何の必然があってカヌー屋ができたのか理解できませんでした。

確かに近くに人工の砂浜があってウインドサーフィンをしている人が多いのですが、カヌーばとちらかと言うと川を下る方がイメージに合うように思います。ましてや砂浜には合わない、海なら波静かな湾を漕ぎ渡るような感じで、砂浜の近くに浮かべても面白くないと思いませんか?でも確かに練習するにはよかったのですが。

その後、ひとりで那珂川をカヌーで下っていると、水底に力尽きた一匹の鮭が沈んでいました。私は思わずシャッターを切りましたが、手元がぶれて写真は鮮明に撮れませんでした。ただ、ぼんやりと横たわるそれが何かを私に告げたような気がしたんです。その不思議な思いを詩にしました。どうでしょうか?

そんな想いを詩にしました。読んで見てください。どうでしょうか?



望郷 ** うねる想い **
beebee
水底に力つきて沈んでいるそれは、たった一人
でこの大きな川を遡って来た。独り流れに逆ら
い、早瀬をむりやり腹で押し渡り、波のうねり
を越えて、今は蒼い水深く静かに休んでいる。
躍動する流れを飛び跳ね、大きな石を越えて登
って来たそれは、今は力つきて水底に鈍色*1に
光る腹を見せ、水面から高く空を見上げている。
黒い眼球はぐるりと廻*2り静かに思い出す望郷
の想い。
若者が漕ぐカヌーが今彼の上を通り過ぎる。ふ
っと漏らした水泡を何の想いか、潜*3らせた若
者の手がすくい川下へ持ち帰ろうとする。
数時間が過ぎ波静かに閉じる想いは夕日をせせ
らぎに映す。川面を遙かに見晴るかし望む海へ
と遊ぶ心と共に西日の内を漕ぎ渡る。手離す気
泡は波に揉まれて消えて行った。深く暗く蒼い
水の内へ静かに帰って行った。下流に拡がる石
油コンビナートはダリア色の想いに染まり金色
に紅く広がり、碧く冷たい空気に浸食されてい
る。静かな故郷への思いは波の下へ下へ拡がる。
気泡の夢。

 *1 鈍色:ニビイロ
 *2 廻り:メグリ
 *3 潜ら:クグラ


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