2007年10月20日土曜日

カナリアのフランケン

昔カナリアを飼っていたことがあります。それは入社して2年目くらいの時でした。私が入っていた独身寮はもちろん動物厳禁なわけですが、金魚や熱帯魚のようにこちらの話し掛けに反応しない動物じゃなくて、こちらの想いを感じてくれるような動物が飼いたかったのです。

犬や猫はもちろん飼えませんから、鳥ぐらいだったら、鳥かごに入れておけば部屋の外に出るわけでもないので見つからないかも、見つかっても許してもらえるかもと考えたのでした。

思い立つと我慢できなくなって、すぐに休日にペットショップに出かけました。ペットショップで鳥かごと一緒に買ったカナリアを背中に隠しながら、寮のおじさんの目を盗んで、寮の裏口から持ち込みました。

本当に小さい時から飼って餌をやれば、親と間違えて手乗りにもなるそうですが、そうもいかず、幼鳥でも独りで餌が食べれるくらいのものを買ってきました。名前はふざけて、フランケンシュタインは長いのでフランケンにしました。小さくて可愛いので逆受けねらいのネーミングです。

本当に小さくて、じっと見ていると弱々しい姿が痛々しく見えてくるのは、人間の勝手な思いこみですよね。

餌をやりながら、手乗りにできないかやってみましたが、やっぱり無理でした。鳥かごから出すとどこかへ飛んでいってしまわないか心配なので、部屋を閉め切りにして外に出して遊んでいました。

フランケンは鳴かない鳥で、部屋に置いたまま仕事に出ても心配ありませんでした。それがある日、テレビドラマの中で、昔流行ったインベーダーゲームのピキュンという音が鳴った時から、急に鳴くようになってしまいました。独身寮ですから、これまでは別に部屋に鍵も掛けていなかったのですが、それからは鍵をかけるようになりました。秘密モード全開になりました。^^);

でも半年くらいして、数日寮を開けることがあって、少し多めの水と餌をおいて出かけたのですが、戻って来ると死んでいました。やっぱりあっけないくらい弱い生き物だったんだと痛感しました。寂しいと生きていけないのかな、なんて考えたりしました。

寮の裏庭に埋めたのですが、今はその場所も思い出せません。フランケンは土に帰ったんだと思います。独身寮が今も同じ場所にそのままあるとも思えないので、本当に記憶だけになってしまいました。

寮に帰って、フランケンを見ていた時に書いた詩です。今も読むと少し胸が痛くなります。読んで見てください。


カナリア     beebee

この
かよわいものの
眼を
凝視めてはいけない。
痛々しいくらいに
幼い
このカナリアは
まばらに生えた羽毛の隙間から
紅く透き徹る皮膚を見せている。
嘴だけが一人前だ。
地を
首を少し横に倒すようにしながら
嘴で
叩く。
軽快なリズム。
動きの中に
生気が溢れている。
だから君よ、
この
かよわきものの
眼を凝視めてはいけない。
無邪気な神よ。
幼き小鳥よ。


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